一昨日、新潟中越地震で土砂に閉じこめられた母子についてのコメントを書いたが、その後の同じテレビニュースの連日長時間にわたる繰り返しにはうんざりさせられた。つまり、ぼくはここ数日間のテレビ各局のこの事件に関する報道姿勢に苛立っているのだ。
今回の新潟中越地震での被災者は、この母子だけではなく、死者33人、負傷者は2220人もいる(注1)。他にも、道路が分断されてしまった地域の救助活動の進展状況など、伝えるべきことは山ほどあるに違いない。
さらに、つい一週間程前の台風23号での被災者は、死者84人、行方不明者と負傷者を合わせて473人にも上っており(注2)、そちらの復興活動の様子などはほとんど報じられておらず、完全に忘れられてしまったかのようだ。被災地に友人知人が住んでいる人は、各地域の現在の状況や復興状況などの方が、よっぽど知りたいのだ。
「悲劇とは、あわれみとおそれを通じて、そのような感情の浄化(カタルシス)を達成するものである」とアリストテレスは書いたが、まさかテレビ各局は今回の事故を事故としてではなく、大衆向けの安っぽい悲劇として放送していたのではないかと疑いたくなる。
確かに、単身赴任の夫が留守中での行方不明、4日間ぶりの奇跡的発見、危険な状況下でのレスキュー隊員の必死の救出劇、救出された2歳男児の生命力など、大衆受けする要素は多いにあった。しかも、金切り声で叫ぶレポーターの声によって、緊迫感が増幅される。
亡くなられた母子と残された夫は、本当に気の毒に思う。しかし、これは事故なのであって、ドラマではない。他の被災者たちが、無視されてよい訳ではないと思うのだ。
日本のテレビ報道に関しては、かねてから各社一律の横並び姿勢と画一化が指摘されてきた。何か突発的な事件があると、すべての局が同じ話題に雲霞のように群がってしまう。各テレビ局は、もうそろそろ、バランスのとれた報道ができないものなのだろうか。
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(注1):平成16 年(2004 年)新潟県中越地震について(第13 報)──平成16 年10 月2 8 日、1 9 時00 分現在、内閣府の発表資料による。
(注2):平成16 年台風第23 号による被害状況について(第10 報)──平成1 6 年10 月2 8 日、20 時00 分現在、内閣府の発表資料による。
いずれも、次のサイトからPDFファイルで入手可能内閣府防災情報のページ。

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