ぼくの名前は、アシュモル。オーストラリアのオパール鉱山で働くお父さんとお母さん、そして妹のケリーアンと暮らしてる。でも、ケリーアンには、まったくまいっちゃうよ。だって、人には見えないポビーとディンガンって友だちがいるって、いつも言い張るんだ。
ある時、ケリーアンは具合が悪くなって寝込んでしまう。ポビーとディンガンがいなくなってしまったって、ケリーアンが言うんだ。認めるのはしゃくだけど、ケリーアンの元気を取り戻すには、ポビーとディンガンを探すしかない。たったひとりの妹だもんな。でも、架空の友だちなんて、どうやって探せばいいんだ。コンチクショウ...。
──最近、珍しく小説を読みました。表紙のイラスト(酒井駒子さん)に惹かれて買ったんだけど...。
『ポビーとディンガン』(ベン・ライス著、雨海弘美(訳)、アーティストハウス、2000年)です。本書は、1972年イギリス生まれの小説家、ベン・ライス(Ben Rice)のデビュー作。オパール鉱山をめぐって山師たちが集まり、「いつ見つかるともわからない宝石を探し続ける町」(p.165 訳者あとがき)ライトニング・リッジで暮らす兄妹の不思議で、心暖まる物語。
家族の絆、夢を見続ける勇気、そしてその代償...。さまざまに受け取ることができるだろうけれど、自分自身に重ね合せて、近ごろ珍しくググッと心に響きました。
「笑いたいなら笑えばいい。ぼくはちっともかまわない。なぜってそいつらはみんな、なかなか目には見えないものを信じることも、さがしてもさがしても見つからないものをさがし続けることも知らないトンチキなんだから」(p.162)
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