お父さんの仕事が忙しくて、夏休みにどこへも連れて行ってもらえないトミーくんは、旅行へ出かけるご近所のおうちの鉢植えをあずかる仕事を思いつきます...。
『はちうえはぼくにまかせて』(ジーン・ジオン(さく)、マーガレット・ブロイ・グレアム(え)、もりひさし(やく)、ペンギン社刊、1981年)
ぼくは近頃、仕事やキャリアについてよく考えます。
そこで、ぼくの本棚に眠っている絵本の紹介です。
植物の世話が好きで、鉢植えをあずかる仕事を思いつき実行してしまう『はちうえはぼくにまかせて』の主人公トミーくんは、いわばちびっこ起業家。図書館で勉強しながら、一所懸命ガンバって、みんながハッピーになっていきます。
絵本という分野は、子供のためのものだけれど、大人の価値観や考え方が凝縮されて表現されています。その意味で、お国柄や作者の思想性が如実に現れて、大人が読んでも考えさせられることが多いもの。その点、この『はちうえはぼくにまかせて』は、やっぱりアメリカの職業観、生活観が現れていると思います。
日本で仕事に関する絵本といえば、これまでは「自分を犠牲にして、こつこつまじめにはたらく」ことを賛美するものが多かったように思います。もちろん、そうした価値観は大切なこと。しかし、その陰で働く人も、それを支える家族も、犠牲になってきたのかもしれません。
けれども、時代の流れはどんどん変わりつつあるようです。自分を押し殺してしまったりせずに、自分もOK、みんなもOKになれる仕事や生活をどうすれば見つけられるのか。きっと今、多くの日本人が考えはじめていることでしょう。
作者は、絵本『どろんこハリー』でも有名なご夫妻。この絵本でも、黄色と青、それを掛け合わせた緑という少ない色で暖かな雰囲気を盛り上げています。

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