読書好きの人ならば、いつも手元に置いて、何かあるたびに繰り返し読みたくなる本があるでしょう。ぼくの場合は、ヘンリー・デビッド・ソローの『森の生活』と並んで、この『学問のすすめ』(福沢諭吉、岩波文庫、1992)もそんな一冊。このところ、転職者向けのセミナーに連続的に参加して、自分を振り返りつつ、何気なく読み返してみたのです。
本というものは、読み返すたびに新しい発見があるものです。この『学問のすすめ』も、今の自分に向けて説かれているのでは、と思ってしまうくらいピッタリの事柄が説かれていて、驚きです。
例えば、「学問のすすめ 第14編 心事の棚卸」から、
「一身の有様を明らかにして後日の方向を立つるものは智徳事業の棚卸なり」(p.128)
これは、転職・求職の希望者だけではなく、多くの人にとって必要なことだと思います。ぼくの場合、近頃、素直になったのか、開き直りなのか、それとも元々バカなのか、ちょっとばかり耳が痛いけれど、すんなりとわかってしまいました。腑に落ちるって感じでしょうか。誰にとっても、過去の経歴をきちんと把握していなければ、目標もたてられないもんね。
さて、次は「学問のすすめ 第17編 人望論」から。
「顔色容貌を快くして、一見、直ちに人に厭わるること無きを要す」(p.157)
人の第一印象は、その人が何を話すかではなく、表情や態度、仕草、服装などで、決まってしまうのだそうです。福沢先生は、そうしたことも大切だと、説かれていたのですね。しかも、それらは努めて上達することもできると説かれています。「凡そ人心の働き、これを進めて進まざるものあることなし」(p.158)
もうひとつ「学問のすすめ 第17編 人望論」から。
「恐れ憚るところなく、心事を丸出にして颯々(さっさ)と応接すべし...人にして人を毛嫌いするなかれ」(pp.160-161)
人は、同業や仲間うちで固まってしまいがち。そうではなく、もっと心を開いて、幅広く人と交わりなさいと説かれています。出不精で、人付き合いが苦手なぼくにとっては、これが一番辛いかな。だからこそ、一番大事な警句として受け止めなければいけないよね。
それはそうと、ぼくにとってこの『学問のすすめ』は、これから状況が変わっても、いつも読み返すことになるでしょう。なにしろ、日本人が書いた最良の自己啓発の書だと思ってますから。

コメントする